算数と数学48 正負の数(1)
- suugakusha
- 17 時間前
- 読了時間: 6分
算数と数学48 正負の数(1)
こんにちは!
今回から、中学数学~高校数学までの
「教科書には載っていないこと」
「教科書に載ってはいても繋がりが示されていないこと」
を中心に話を進めていきます。
もちろん普通に教科書に載っていることにも触れながら、数学の奥深さが感じ取れるように進めていきたいと思っています。
中学数学の一番最初の単元は「正負の数」です。
この「正負の数」の単元には、その後の中学、高校で学ぶ数学の基本がぎゅぎゅぎゅ~っと詰まっています。
さて、その「正負の数」で、一番最初に出てくることが
「ー(マイナス)の定義付け・性質・使い方」です。
次のような問題はとても簡単に見えるので軽視されがちですが、ここにこの先の「なぜ?」の理由が含まれています。
東へ+50m
-5cm高い
などと同じことを表すには、
西へ-50m
+5cm低い
のようになることは誰もが簡単に覚えられることでしょう。ただこのときに、
A「符号を変えたら言葉を変える。言葉を変えたら符号を変える」
との言葉を必ず覚えておいてください。
次に、「絶対値」を学びます。
「絶対値」とは、「数直線」を学んだときに、「原点からの距離」として、数字そのものの大きさを示す言葉です。「絶対値」と言うと難しく感じるので、問題によってはこれを「数字部分」と言っても構いません。
「数直線」については、「右が大きい、左が小さい」ことを徹底しましょう。
そして最も重要なのは、
B「符号と絶対値(数字部分)は必ず分けて考える」
ことをしっかりと身に付けることです。
これは教科書には様々な場所で繰り返し載っていることなのですが、この大切なことに気付いていない(はっきりと教えてもらっていない)場合も多く、これから先学ぶ数学すべてに影響を及ぼすものです。文字式を学んだ後は、「符号」「数字部分」「文字」の3つを分けて考えることになります。
数学全般の正しい理論体系と素早くミスのない計算能力は、この最初の単元である「正負の数」で形作られるものと思ってください。
また
「正負の数」の単元を学ぶ真の目的は「正」か「負」かを判断すること
であることも頭に置きながら学習を進めていきましょう。
では、「正負の数」の基本例題を用いて、上で示した事柄を確かめていきます。
1「正負の数」の大きさ比べ
不等号で表すと
負の数<0<正の数
であることと、「数直線」を用いながら
「正の数」は「絶対値が大きい方が大きい」
「負の数」は「絶対値が大きい方が小さい」
とのことは、どのような教科書にも載っている事柄です。
良く読み取れば、ここには「符号」と「絶対値(数字部分)」は分けて考えることがちゃんと書かれているのですが、そのことに気付いていない場合も多く、これによって次のような問題が難しく感じる生徒も出てきます。
(整数、小数の問題は間違いが少ないのですが、以下のような分数を苦手とする子がいます。分数の表し方は、3/4は4分の3←4が分母、3が分子です)
例1 次の数の大小を不等号で表せ
(1)ー3/4,-5/6,-2/3,ー7/8
(2)ー3/4,ー4/5,ー6/7,ー8/11
(3)ー11/13,ー7/11,ー9/10,ー5/7
ここで、中学受験算数を学んでいない生徒のために、「分数の大きさ比べ」について簡単に説明を加えます。「分数の大きさ比べ」は以下の3通りの方法があります。
「分数の大きさ比べ」
①分母を揃える(通分する=分母の最小公倍数を利用)
⇒分子が大きい方が大きい
②分子を揃える(分子の最小公倍数を利用)
⇒分母が大きい方が小さい
③比べられる小数になるまで、分子÷分母の計算をする
すべてを③で済ませることもできますが、「正負の数」の「符号」と「絶対値」を分けることの大切さを学ぶため、この3つの方法を用います。
上の(1)は①で、(2)は②で、(3)は③で解いてみましょう。
まずはこの3つの問題がすべて「負の数」であることの確認※1をしたのち
「符号を取っ払って」(←これによって「絶対値」になり)
「絶対値(数字部分)の大きい順に並べて」
「あとからー(マイナス)を付ける※2」
と言う、「本当は教科書に載っていること」を覚えれば終わりです。
※1「正の数」「0」「負の数」が混ざっている問題は、「負の数」は負の数だけで「絶対値」の大きい順に並べ、0を挟み、そして「正の数」は正の数だけで「絶対値」の小さい順に並べて、あとから「符号」を付けます。この段階を踏むことで、慣れたら「符号」も同時に付けられるようになります。
※2「あとからー(マイナス)を付ける」は、最初は「負の数」の確認として行い、大きさの順番が分かるようにしておけば「絶対値(数字部分)の大きい順に並べ」たときと同時に行えるようになります。
(1)ー3/4,-5/6,-2/3,ー7/8
「符号」をはずして通分すると、与えられた順に「数字部分=絶対値」が
18/24❸,20/24❷,16/24❹,21/24❶
となります。これを「絶対値」の大きい順(「数字部分」の分子の大きい順。上の❶❷❸❹のように番号を付ければその順)に並べ直すときに元の分数と不等号を書き、
7/8< 5/6< 3/4< 2/3
あとからー(マイナス)をピッピッピッピッと付けて終わりです。よって答えは
ー7/8<ー5/6<ー3/4<ー2/3
(新たに書くのではなく上にマイナスを付け加えるだけ。慣れたらあとからではなく同時に行っても構いません。以下同)
(2)ー3/4,ー4/5,ー6/7,ー8/11
「符号」をはずして、「数字部分=絶対値」の分子を24(最小公倍数)に揃えます。
24/32❸,24/30❷,24/28❶,24/33❹
これも「絶対値」の大きい順(「数字部分」の分母の小さい順❶❷❸❹)の元の分数に並べ直して不等号を書き、最後にマイナスを付けるだけです。
6/7< 4/5< 3/4< 8/11
ー6/7<ー4/5<ー3/4<ー8/11(同)
(3)ー11/13,ー7/11,ー9/10,ー5/7
「符号」をはずして、比べられる小数になるまで、分子÷分母の計算をします。
0.8❷, 0.6❹, 0.9❶, 0.7❸(敢えて簡単な数字にしました)
これも「絶対値」の大きい順(❶❷❸❹)の元の分数に並べ直して不等号を書き、最後にマイナスを付けるだけです。
9/10< 11/13< 5/7< 7/11
ー9/10<ー11/13<ー5/7<ー7/11(同)
さて。すでにお気付きのように、上の(1)~(3)まですべて、
「符号を取っ払って」
「絶対値(数字部分)の大きい順に並べて」
「あとからー(マイナス)を付ける※2」
と、まったく同じことを繰り返しているだけです。
つまり、「符号」を取っ払ってしまえば「算数」で学んだこと(①~③の考え方)がそのまま使えるのです。「算数」では(0と)「正の数」のみの勉強ですが、それが「絶対値」に当たるだけと分かってしまえば
「正負の数」の単元を学ぶ真の目的は「正」か「負」かを判断すること
であることにも納得がいくでしょう。
さて、今回はここまでにしておきますが、
B「符号と絶対値(数字部分)は必ず分けて考える」
ことは「正負の数」の単元だけでなく、様々な単元で重要度を増していきます。
この先のブログでも一部にはなりますが紹介していく予定です。
そして
A「符号を変えたら言葉を変える。言葉を変えたら符号を変える」
の重要度はBよりは低いですが、次回ブログの
「正負の数」の「加法・減法」、「乗法・除法」の「なぜ?」に直接繋がるものになります。
中学になってすぐの時期から、数学で最も重要な、「なぜ?」と言うことを理論的に考察し続けることで、「数学は繋がりの学問である」と言うことへの理解が深まっていきます。
次回更新は4月23日(木)を予定しています。
それではまた!

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