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算数と数学45 面積図系問題のまとめ

  • suugakusha
  • 10月23日
  • 読了時間: 7分

算数と数学45 面積図系問題のまとめ


こんにちは!


さて、面積図系問題も今回で終了となります。


まずは

「算数と数学 40 過不足算(1)」の例31

「算数と数学 41 過不足算(2)」の例32

を見ていきましょう。


例31


(1)折り紙を1年生と2年生に配ります。2年生は1年生の人数の1.5倍です。1年生には1人5枚、2年生には1人10枚配ると10枚足りないので、1年生には1人6枚、2年生には1人8枚配ったところ2枚余りました。折り紙は何枚ありますか。


(2)折り紙を1年生と2年生に配ります。2年生は1年生の人数より3人多く、1年生に1人5枚、2年生に1人10枚配ると10枚足りません。そこで、1年生には1人6枚、2年生には1人8枚配ったところ2枚余りました。折り紙は何枚ありますか。



この例31は、いくつかの解き方がありますが、「過不足算」による解法を理解することが第一の目標となります。


その「過不足算」の解き方はいつも通り、「揃える」ことです。


例31「過不足算」による解法


(1)2年生は1年生の1.5倍いるので、1年生2人に対し2年生は3人です。

この、1年生2人と2年生3人の5人を1組として考えます。するとこの1組について、


最初の配り方では

5×2+10×3=40(枚/組)

配ることで10枚足りなくなり、

あとの配り方では

6×2+8×3=36(枚/組)

配ることで2枚余ります。


よってこれで「過不足算」になりました。


(10+2)÷(40ー36)=3(組)


あとは

1年生2×3=6(人)

2年生3×3=9(人)

と出せるので、折り紙の枚数は

5×6+10×9=120

120ー10=110(枚)

と分かります。

もう一方の計算もして確かめましょう。

6×6+8×9=108

108+2=110(枚)

合っていますね。


(2)2年生は1年生より3人多いので、その2年生3人には一旦折り紙を配らないことにしましょう。

すると、その3人分の折り紙はまだ残っていることになり、このとき、


最初の配り方では

10×3=30(枚)配らないので、10枚足りなかったのが、

30ー10=20(枚)

余ることになり

あとの配り方では

8×3=24(枚)配らないので、2枚余っていたのが更に増え、

2+24=26(枚)

余ることになります。


またこのとき、1年生の人数と2年生の人数が等しくなるので、1年生と2年生1人ずつの、合わせて2人を1組として考えます。この1組について、


最初の配り方では

5+10=15(枚/組)

あとの配り方では

6+8=14(枚/組)

配ることになります。


よってこれで「過不足算」になりました。


(26ー20)÷(15ー14)=6(組)


あとは

1年生1×6=6(人)

2年生(上の6人を使って)6+3=9(人)

と出せますね。

折り紙の枚数は(1)と同様の計算なので省略します。


このように「過不足算」による解法が理解できるならそれで十分です。


しかし、なかなかこれが、「説明されたら分かるけど自分でやると解けない」と言う子も多く、そのような場合でも「受験で合格させる」ための算数として生み出されて行ったのが、(「面積図」を説明に用いるだけでなく)所謂、解くことに利用する「面積図」です。

ただ、ほぼすべての中学校が1~3問程度の「特殊算」を出題していた時代と違い、「特殊算」の出題頻度が下がった今では、下のような「面積図」を学ぶ必要性はそこまで重要ではありません。気に入ったら使ってみると言う程度でも良いでしょう。

そこでもう一つ。今でも様々な問題に対して有効な解き方も載せておきましたので、参考にしてみてください。




さて次の例32は、配ったりするものを取り替える、逆にする問題です。

この問題は最初に「過不足算」の考え方を用いるため、「過不足算」や「差集め算」に入れられていることが多いのですが、後半の解き方が何通りかあるため、「過不足算」や「差集め算」の単元に入っていること自体が解きづらくしている要因となっている問題とも言えます。読み取りによる説明だけでは理解できない子も多い問題です。

(1)だけは(「過不足算」と「和差算」の融合問題と)比較的簡単に説明できますが、(2)(3)は、最初「過不足算」の考え方を用いるところまでは理解できても、そのあとどのように解けば良いか理解できない子が数多くいます。


例32


各学年に折り紙を配ります。


(1)1年生と2年生は合わせて15人います。1年生には1人8枚ずつ、2年生には1人6枚ずつ配ると2枚足りず、1年生と2年生の配る枚数を逆にすると12枚余ります。折り紙は何枚ありますか。


(2)3年生に1人9枚ずつ、4年生に1人5枚ずつ配ると111枚必要ですが、3年生と4年生への配る枚数を逆にすると99枚で済みます。3年生、4年生はそれぞれ何人いますか。


(3)5年生は11人、6年生は4人います。5年生1人ずつに配る枚数は同じ、6年生1人ずつに配る枚数も同じにしますが、5年生1人ずつに配る枚数と6年生1人ずつに配る枚数は異なるようにします。110枚の折り紙があり、最初予定していた配り方だと13枚足りなくなるので、5年生1人に配る枚数と6年生1人に配る枚数を逆にして配ったら8枚余りました。5年生には1人何枚ずつ配りましたか。




「面積図」の使い方が違う=説明の仕方や考え方も変わる、と言うことです。これらの問題を無理やり「○○算」に含める必要はありません。「取り替える・逆にする問題」として、別枠で覚えることをお勧めします。



さて、いかがでしたか?


これで「面積図」系のおよその問題は終了です。


例31例32で利用した解法も初めて見るものかと思います。

昭和の時代に、(「特殊算」を含む)様々な文章題が作られ、それに対処するために様々な解法を作りました。どのような問題に対しどのようなときにどのような解き方を用いるかを知っておくことだけでも大きな意味を持つのではないでしょうか。


「面積図」は、「単位あたりの量」×「単位」=「全体量」を用いる問題に対し使われることを基本とします。

この、基本中の基本たる最も重要なことを知っていれば、「面積図」系問題を「線分図」で教えたり、ましてやxやyなどの文字を使って教えたりするような馬鹿げた教え方になる訳がありません。



さて、大まかに「面積図」系の問題を分類すると、


1。「2つの単位当たりの量」「2つの単位の和」「全体量」が分かっている→つるかめ算

2。「2つの単位当たりの量」と「過不足」が分かっている。ただし、「全体量」や「単位」にあたる部分が変わらない、または、変わる場合はその「全体量」や「単位」部分を揃えて解く(揃えられる)→過不足算

3。「2つの単位当たりの量」と「過不足」が分かっているが、「単位」部分と「全体量」のどちらも変わる。解き方として「単位」部分を揃えずに解く、または揃えることができなくても解ける→差集め算

4。積が一定のものに対して使われる→平均算

5。ある一定量が元々あり、時間経過とともに全体量が増減する。「2つの単位当たりの量」と「2つの単位」が示されるが、それぞれの積が異なる→ニュートン算

6。「単位あたりの量」を逆にする問題。最初「過不足算」の考え方を用いるが、その後は基本3つのタイプがある→取り替える問題・逆にする問題


と言う感じになります。もちろんこれは「大まかに」分類した場合であり、これらを組み合わせた更に難しい問題を解くために覚えておくと良いもの、と考えてください。


そして、「面積図」は、解くときには必ずしも必要とするものではない、と言うことも、ご理解いただけたでしょうか。

「線分図」系問題では、「消去算」になる問題を見抜くためにも「線分図」のかき方の練習はしておくと良い、と言えるかと思いますが、「面積図」系問題ではどうでしょう。

強いて言えば、3。差集め算6。取り替える・逆にする問題、などは、「面積図」を用いて解くことで「理解しやすい」「間違いを減らせる」、との有効性が認められることから、もし使えるならば使う、程度に練習をしておいてもいいかもしれません。


受験算数における「線分図」や「面積図」が生まれた経緯は、文の読み取りだけでは理解できない子のための「説明」として用いられたものであり、かつ、「解くとき」にも有効なものは「ミスを防ぐ」ために利用できるようにしておく、と言うことから始まったものです。「特殊算」の出題頻度が高い中学を受験する生徒は有効なアイテムとして利用できるようにしておく、と言う程度に捉えれば良いでしょう。

(古くは日本の「算術」にも登場していますが、それは(当時は)「難しくて解ける人がほとんどいない」問題を、分かりやすく図を用いて「謎解き」のような使い方をしているものが大半です)

「線分図」や「面積図」を否定することは必要ありません。逆に「特殊算」を解くときには「線分図」や「面積図」を使いなさい、などのようなことも必要ありません。



さて、次回は「仕事算」の基本を進めていきたいと思っています。

これまで「線分図」系問題、「面積図」系問題で「比」を多用してきましたが、これらは(「割合」と「比」の違いをしっかり理解した上で)「比」を正しく学んでからの解き方になります。そして「仕事算」を正しく学ぶことで、更に「比」の使い方に対する理解が深まることでしょう。


次回更新は11月27日(木)を予定しています。


それではまた!

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