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算数と数学35 年齢算(2)・倍数算

  • suugakusha
  • 2024年11月7日
  • 読了時間: 7分

更新日:2月8日

算数と数学35 年齢算(2)・倍数算


こんにちは!


今回は「年齢算」の応用と、「倍数算」についてです。

これを読む前に「算数と数学33」「算数と数学34」を読んでおくと分かりやすくなりますので、併せてお楽しみください。



例15(年齢算)


お姉さん、太郎くん、弟がそれぞれ11歳、9歳、6歳のとき、お母さんは32歳です。


(1)お母さんの年齢と、3人の子供たちの年齢の和が等しいとき、太郎くんは何歳ですか。


(2)お母さんの年齢が、3人の子供たちの年齢の和のちょうど2倍のとき、太郎くんは何歳ですか。


(3)お母さんの年齢が、3人の子供たちの年齢の和の4/5(5分の4、以下同)のとき、太郎くんは何歳ですか。



上の3問はいずれも、何年前か、何年後か、つまり過去のことなのか未来のことなのか分かりません。よって、「算数と数学33」の例12(2)と同様、初めにそれを調べる必要があります。


子供3人の和は26歳、お母さんは32歳です。1年変わるごとにお母さんの年齢は1歳ずつ、子供3人の和は3歳ずつ変わります。

子供たちの年齢の和の割合は、過去であれば小さく、未来であれば大きくなります。


調べ方は簡単です。

(1)であれば、子供3人の和がお母さんの年齢に追い付かなければいけないので未来。

(2)は例えば、与えられた最初の数値が、お母さんの半分より子供たちの年齢の和が大きいので、それを小さくするには過去。

(3)子供3人の和がお母さんを超えているので当然未来です。


そのときどきの問題によってどのように調べても構いません。例えば例12(2)なども、次郎くんの年齢の15歳を利用すれば、与えられた数値(いとこのお姉さんは27歳)と比べて

(2)ー1(二人の年齢の比が5:3になる問題)

15÷3×5=25となり、小さい方の値の割合が小さいので、それを大きくするには未来。

(2)ー2(二人の年齢の比が2:1になる問題)

15×2=30となり、小さい方の割合が大きいので、それを小さくするには過去。


のように調べたほうが楽だったことが分かります。ただいつも綺麗な数字が出てくるわけではありませんので、前回は敢えて面倒な方を用いました。このようなことも練習によって身に付けていくことです。


さて、過去か未来かは分かりましたが、上の問題はどのように解くのでしょう。


この問題の解き方を示す前に、「倍数算」を紹介したいと思います。

ここで、「倍数算」とはどのようなものを指すかを示しておきます。「倍数算」の分け方は多様にあり、定まっていません。例えば


1000円のお小遣いを、AくんはBくんの2倍、BくんはCくんの3倍になるように分けました。Aくんはいくらもらいましたか。


のような問題も「倍数算」に入れているような塾、テキストもあります。また、前回の「和一定」「差一定」の問題を「倍数算」に入れることもあります。


上の問題は「もとにする量をCくんに揃えれば」、AくんはCくんの6倍なので、簡単な「分配算(比分配)」と分かります。

Aくん⑥、Bくん③、Cくん①で和は⑩。この⑩が1000円なので解説は不要でしょう。


ここでは、「倍数算」の定義を、増える(減る)量が一定ではなく、最後に当たる部分も変化する問題のみを「倍数算」として扱うこととします。「和一定」「差一定」の問題は含めません。


では、その「倍数算」の問題と解き方を示していきましょう。



例16(倍数算)


(1)お姉さんと太郎くんの持っているカードの枚数の比は3:1です。

お姉さんが26枚、太郎くんが32枚増えると、お姉さんと太郎くんの持っているカードの枚数の比は5:4になります。

太郎くんは今何枚のカードを持っていますか。


(2)お姉さんと太郎くんの持っているカードの枚数の比は5:4です。

お姉さんが30枚、太郎くんが10枚減ると、お姉さんと太郎くんの持っているカードの枚数の比は2:3になります。

太郎くんは今何枚のカードを持っていますか。


(3)お姉さんと太郎くんの持っているカードの枚数の比は5:4です。

お姉さんは弟に10枚あげて、太郎くんはお母さんから5枚もらったので、お姉さんと太郎くんの持っているカードの枚数の比は8:9になりました。

太郎くんは今何枚のカードを持っていますか。



さて、これらの問題を「線分図」で「説明」しても構いませんが、「線分図」で「解く」ことは実践的ではありません。


例えば(1)では、初めに3:1の長さの線分図を(③と①として)かき、その③の線に26を加え、①の線に32を加えた結果が5:4になるようにかきます。それをそれぞれ、4倍、5倍した線分の長さが等しくなることから、その同じ長さの線分にかき直し、それから○のいくつがいくつになる、のようにしていくのですが。。。(PDFをご覧ください)

あれ、これって結局


(③+26):(①+32)=5:4


と書いてしまえば終わりますね。

この問題では、この①にあたる割合が太郎くんが持っているカードの枚数です。


前回の「比」の計算の使い方さえ覚えれば、「倍数算」はもうこれで終了です。

(③+26)を4倍し、(①+32)を5倍したものが等しくなるので


〔○の12〕+104→⑤+160

(〔○の12〕は○の中に12、以下同)

それぞれの差を考えて、

⑦→56

①→8

これで太郎くんの持っているカードが8枚と分かりました。


(2)も同様に解きます。この問題では、お姉さんの割合を⑤、太郎くんの割合は④とすれば良いですね。


(⑤-30):(④-10)=2:3


よって、

〔○の15〕-90→⑧-20

⑦→70※

①→10

④→40

これで太郎くんの持っているカードが40枚と分かりました。

※この部分の計算が良く分からない場合は、線分図を用いると分かりやすくなります。


(3)も同様に解いてみましょう。この問題も、最初のお姉さんの割合を⑤、最初の太郎くんの割合を④とします。


(⑤-10):(④+5)=8:9


よって、

〔○の45〕-90→〔○の32〕+40

〔○の13〕→130

(90減ることと40増えることの差は90+40=130)

①→10

④→40

これが太郎くんの最初持っていたカードの枚数です。この問題の「今」は、お母さんから5枚もらった後の枚数なので、

40+5=45

これで太郎くんの持っているカードが45枚と分かりました。


この解き方を覚えると、「倍数算」は全然怖くありません。ただ、計算上それぞれの差(違い)で間違わない為に、その部分こそ「線分図」を用いて理解を促せば良いだけです。

今回は、例15例16を補助するための「線分図」を載せていますので併せてお楽しみください。まずは例16です。


例16で用いられる線分図



さて、では例15「年齢算」の問題をもう一度見てみましょう。


例15(年齢算)


お姉さん、太郎くん、弟がそれぞれ11歳、9歳、6歳のとき、お母さんは32歳です。


(1)お母さんの年齢と、3人の子供たちの年齢の和が等しいとき、太郎くんは何歳ですか。


(2)お母さんの年齢が、3人の子供たちの年齢の和のちょうど2倍のとき、太郎くんは何歳ですか。


(3)お母さんの年齢が、3人の子供たちの年齢の和の4/5(5分の4、以下同)のとき、太郎くんは何歳ですか。


お姉さんと太郎くんと弟の年齢の和は26歳で、お母さんの年齢は32歳です。1年ごとにお母さんは1歳、子供たちは合わせて3歳年齢が変わります。


初めてこのような問題を解くときには、実際に1年ずつ過去や未来にして、いろいろと確かめていくことが大切なのですが、そこは省略します。


1年で1歳変わることと3歳変わることを、①と③として解けば良いですね。

このような設問の場合、過去か未来かがとても大切であることに気付くでしょう。それが分からないと、図も式も作れません。


(1)は年齢が等しくなるので「線分図」で簡単に解くことができます(和一定の線分図に似ています)。が、これも


26+③→32+①


のように解いても構いません。未来に等しくなるので③と①を加えるだけです。

よって

②→6

①→3

この問題では①が一人あたりの年齢の増減なので、3年後にお母さんと子供たちの年齢の和が等しいことを表しています。

よって

9+3=12

太郎くんが12歳であることが分かります。


確かめてみましょう。

3人の子供たちはそれぞれ、14歳、12歳、9歳。和は35歳です。

お母さんは32+3=35歳。

ピッタリ合っていますね。


(2)であれば過去なので、③と①をひけば良いことが分かります。


〔26-③〕:〔32-①〕=1:2


52-⑥→32-①

⑤→20

①→4

4年前であることが分かりました。

よって

9-4=5

このとき太郎くんは5歳だったことが分かります。


52-⑥→32-①から、⑤→20を求めるときには線分図をかいて確かめると良いでしょう。差一定の線分図と同じようにかけます。


(3)も同様に、未来なので


(26+③):(32+①)=5:4


よって

104+〔○の12〕→160+⑤

⑦→56

①→8

8年後なので、太郎くんは

9+8=17

17歳になっていることが分かりました。


あれ?

この問題、例16(1)と「解き方」はまったく同じですね。かっこ付きの数が入れ替わり、求める答えが異なるだけです。


結局「年齢算」と言うカテゴリーに含まれる問題は、基本は「差一定」の問題であったり、結果的に「倍数算」であったりするだけだったようです。

このように考えると、「○○算」の中で難易度の高いものには「倍数算」が含まれている場合があることに新たに気付かされます。


例15で用いられる線分図も下に準備しましたのでお楽しみください。



例15例16の線分図を見ると分かるように、「線分図」等は「使えるときには使う」との柔軟な姿勢で臨むことが大切なことが分かります。「これは○○算だからこの線分図(面積図)」と言う教え方では柔軟な思考「脳」力は育ちません。




さて、楽しんでもらえたでしょうか。


次回更新は11月28日(木)を予定しています。



それではまた!

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