算数と数学41 過不足算と差集め算(2)
- suugakusha
- 4月24日
- 読了時間: 6分
算数と数学41 過不足算と差集め算(2)
こんにちは!
今回は、「算数と数学40」で紹介した「差集め算」の解法と、2024年度女子学院中学校入試問題の解説を行います。最後までお付き合いください♪
まず、「過不足算」と「差集め算」の違いを再度示しておきましょう。
・「過不足算」とその解法=「全体量」や「単位」にあたる部分が変わらない、または、変わる場合はその「全体量」や「単位」部分を揃えて解く(揃えられる)。
・「差集め算」とその解法=「全体量」も「単位」にあたる部分も変わるが、「単位」部分を揃えずに解く、または揃えることができなくても解ける。
では、各例題の解説です。
例24(差集め算)
きのう1個1000円で売っていた品物を、今日は1個900円で売ったところ、きのうより20個多く売れ、売り上げは8000円増えました。今日は何個売れましたか。
さて、この問題を「過不足算」の解き方を使って、次のように考える生徒がいます。
もし20個多く売れなかったら、900×20=18000円売り上げが減る。
でも売り上げは8000円増えたのだから、その差(違い)は18000+8000=26000円。
これを1個あたりの差の100円で割って、26000÷100=260
これはきのうに揃えた個数なので、今日売れた個数は
260+20=280
よって答えは280個。
確かめてみましょう。
1000×260=260000
900×280=252000
その差は確かに8000円ですが・・・
あれ?
900円で売った今日の売り上げの方が少なくなっています。。。おかしいですね。
この考え方の何が間違っているのか説明できますか?
これまでの学びで得た、様々な問題で使う、「揃える」「差(違い)にはたすこともひくこともある」と言うことや、「過不足算」の解法が逆に仇となって、上のように考えてしまう子もいるのです。そしてその考え方の間違いに気付かないまま、答えを書いてしまう子も多くいます(確かめをしてもなぜ間違っているのかが理解できないので本当の答えにたどり着けない)。
「過不足算」と「差集め算」は同じもの、などの大噓がこのような事態を招いてしまうことにもなっています。
「過不足算」と「差集め算」はまったく違うもの。としてきちんと教えない限り、上のような考え方の間違いに気付けない生徒を生み出し続けることになります。
では「差集め算」の考え方、その解法をご覧ください。
これを見ると分かるように、「単位」部分(この問題では個数)を揃えずに、それぞれの「差」の部分だけを用いて解けるのが「差集め算」の特徴です。
最初に示した、「過不足算」と「差集め算」の特徴を捉えて、「過不足算」と「差集め算」の捉え方、考え方、解き方はまったく違うもの。と、覚えておくことの大切さも分かるかと思います。
次の問題は「差集め算」の単元ではありませんが、「差集め算」の特徴を持っているので「差集め算」の「解法」が使えるものです。
ある単元の問題と気付き、解き方を覚えていればできる問題なのですが、そこが難しく、気付けない、解き方を覚えていない・・・そんなときに役立つのが「差集め算」による解法です。
例25(差集め算の解法が使える、まったく違う単元に含まれている問題)
(1)きのう1個1000円で売っていた品物を、今日は1個900円で売ったところ、きのうより20%多く売れ、売り上げは8000円増えました。今日は何個売れましたか。
(2)きのう1個1000円で売っていた品物を、今日は1個900円で売ったところ、きのうより20個多く売れ、売り上げは8%増えました。今日は何個売れましたか。
次に例30です。この問題は基本「過不足算」であり、前回示した解き方で十分です。これを「差集め算」で解く必要はありませんが、解き方の違いが良く分かるので「差集め算」でも解いてみましょう。
例30(過不足算/差集め算)
(1)折り紙を1人7枚ずつ配ると5枚余ります。配る予定の人数が5人増えたので1人6枚ずつ配ろうとしましたが10枚足りなくなりました。折り紙は何枚ありますか。
(2)折り紙を1人に7枚ずつ配ると5枚余ります。予定していた人数が2倍になったので1人に4枚ずつ配ろうと思ったら10枚足りませんでした。折り紙は何枚ありますか。
解2(差集め算による解法)
「過不足算」の考え方、解き方とどちらが好きですか?
もしこちらが覚えやすければどちらでもお好みで構いません。
尚、次のような「単位」部分を取り替える問題を「過不足算」や「差集め算」に入れているテキストもありますが、これはそのどちらでもありません。
例32
各学年に折り紙を配ります。
(1)1年生と2年生は合わせて15人います。1年生には1人8枚ずつ、2年生には1人6枚ずつ配ると2枚足りず、1年生と2年生の配る枚数を逆にすると12枚余ります。折り紙は何枚ありますか。
(2)3年生に1人9枚ずつ、4年生に1人5枚ずつ配ると111枚必要ですが、3年生と4年生への配る枚数を逆にすると99枚で済みます。3年生、4年生はそれぞれ何人いますか。
(3)5年生は11人、6年生は4人います。5年生1人ずつに配る枚数は同じ、6年生1人ずつに配る枚数も同じにしますが、5年生1人ずつに配る枚数と6年生1人ずつに配る枚数は異なるようにします。110枚の折り紙があり、最初予定していた配り方だと13枚足りなくなるので、5年生1人に配る枚数と6年生1人に配る枚数を逆にして配ったら8枚余りました。5年生には1人何枚ずつ配りましたか。
この例32の解説は、前回の例31とともに「面積図系問題のまとめ」で行います。
では、お待たせしました。
2024年「女子学院中学校」入試問題の解説です。
問題
□にあてはまる数を入れなさい。
クラスの生徒に消しゴムを配ります。全員に10個ずつ配ると32個足りないので、先生と勝敗がつくまでじゃんけんをして、勝った人には11個、負けた人には7個配ることにしました。勝った人は負けた人よりも5人少なかったので、消しゴムは9個余りました。
クラスの人数は□人、消しゴムは全部で□個です。
この問題は「単位」にあたる部分(人数)だけが変わる問題で「全体量」(消しゴムの個数)は変わっていません。よって本来は「過不足算」です。が、解き方としては、「単位」部分を「揃える」ことを使えば「過不足算」、揃えずに解くなら「差集め算」と、どちらでも解ける問題です。普通は「過不足算」で十分です。
解1「過不足算」による解法
まず、人数を揃えます。
「勝った人は負けた人より5人少ない」ことから、負けた人のうち5人には消しゴムを配らないものとします。(=勝った人の人数に「揃える」)
すると、
7×5=35(個)
消しゴムは余るので、元々の余りと合わせて
9+35=44(個)・・・①
余ることになります。
次に、最初の配り方でも、1人10個ずつ5人分は配らないものとします。
10×5=50(個)
32個足りなかったのが、50個配らないことで、
50=32=18(個)・・・②
余ることになります。
このとき、勝った人と負けた人の人数は同じなので、勝った人と負けた人1人ずつの2人1組で消しゴムを配るものとします。
すると、2人1組で18(11+7=18)個配ることになります。・・・③
1人に10個ずつ配るときも、2人1組に配ると考え、1組あたり20個ずつ配ることとします。・・・④
これで「過不足算」による解法が使えるようになりました。
①②③④から
(44ー18)÷(20ー18)=13(組)
1組(2人)の中に、勝った人が1人、負けた人が1人いるので、勝った人が13人と分かり、負けた人は18(13+5=18)人と分かります。
よって、クラスの人数は31(13+18=31)人。
消しゴムの個数は、1人10個ずつ配った方を用いると
10×31=310
310ー32=278(個)となります。
じゃんけん後の配り方でも消しゴムの個数を確かめましょう。
11×13+7×18=269
269+9=278(個)
大丈夫ですね。
解2「差集め算」(比と面積図)による解法
いかがでしたか?
「過不足算」と「差集め算」では、捉え方、考え方、解き方がまったく異なると知っておくことが、ミスを減らすことに繋がります。
さて、次回更新は6月5日(木)を予定しています。
それではまた!
尚、ブログ内の入試問題はすべて使用許諾取得済みです。
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